タワーマンションの維持費はどれくらい必要?将来値上がりする?

不動産

普段一軒家や賃貸アパートに住んでいる方にとって、「管理費」や「修繕積立金」という言葉はあまり馴染みがないかもしれませんが、マンションやタワーマンションを所有すると、毎月これらの費用を支払う必要があります。

特にタワーマンションの場合、一般のマンションよりも高額な場合が多いです。

タワーマンションとは、高さ60m以上で、階数がおおよそ20階以上の住宅用建物を指し、具体的な法的な基準は存在しません。

一般的なマンションでは、住戸数が多くなると管理費や修繕積立金は割安になる傾向があります。

しかし、タワーマンションでは住戸数が多いにも関わらず、管理費や修繕積立金が高額となる逆転現象が見られます。

では、なぜタワーマンションの費用は高額なのでしょうか。

ここで今回の記事では、「タワーマンションの管理費と修繕積立金」について詳しく説明します。

最後までお付き合いください。

タワーマンションの管理費と修繕積立金

所有することで発生する費用についてお伝えします。

管理費

管理費とは、マンションの共有部分を管理・維持するためにかかる費用のことです。

管理費は、主に以下のような項目のために費用が生じます

1. 共有部分の清掃:廊下、階段、エントランス、集会室、ゲストルームなどの清掃費用。

2. 共有部分の水道光熱費:エレベーター、廊下の電気代、散水の水道代など。

3. 設備の点検費用:エレベーターの点検費用、排水設備や消火設備の法定点検費など。

4. 管理人の人件費:管理人やコンシェルジュなどの給与費用。

5. 庭の維持管理費用:植栽の剪定、害虫対策、除草、人工の池や小川の維持費など。

マンションは、専有部と共有部に分かれています。

共有部は、エントランスや廊下、階段、エレベーター、集会室、庭、キッチンスタジオなど、住人が共同で利用するスペースのことを指します。

管理費は、新築時からかかる運営費用であり、特に変動しない費用であることが特徴です。

しかし、近年の高層マンションでは、キッズスペースやコインランドリー、ラウンジ、コワーキングスペース、パーティールームなどの共用施設が充実しているため、管理費が高くなる傾向があります。

将来的に管理費が下がる可能性はありますが、管理組合が管理方法を見直してコスト削減の努力をする必要があります。

修繕積立金

修繕積立金とは、将来に備えて大規模な修繕工事に必要な費用を貯めていくための積み立てです。

例えば、外壁塗装や屋上防水、共用部のひび割れ対応、排水管の高圧洗浄、共用部の空調や照明の更新、セキュリティインターホンの交換、玄関扉の交換、給水設備やポンプの交換、エレベーターの更新などが、修繕積立金の主な使い道です。

修繕積立金は、毎月の管理費とは異なり、毎月使われる費用ではなく、将来の修繕工事に備えて貯金することが目的です。

住民全員から少しずつお金が集められ、管理組合が適切に管理・運用しています。

このお金は、「万が一のとき」や「計画的な修繕」に備えるためのものです。

修繕積立金の金額は、長期修繕計画に基づいて設定されます。

ただし、築年数が経過するにつれて、多くのマンションでは修繕積立金が不足していく傾向があります。

そのため、管理組合は定期的に積み立て金額を見直し、必要に応じて増額することがあります。

修繕積立金は、マンションや共同住宅の大切な費用です。

定期的な修繕を行うためには、しっかりと積み立てていくことが重要です。

住民と管理組合が協力し、長期的な視点で適切な運用を行うことで、建物のメンテナンスや耐久性の維持に貢献することができます。

その他の費用

マンションを所有することには、他にもいくつかの費用が発生します。

例えば、「駐車場代」や「駐輪場代」があります。

一般的に、マンションの駐車場代は周辺の月極駐車場よりも安く設定されています。

もし周辺の月極駐車場の相場が月に2万円だとすると、マンション内の駐車場代は月に1.5万円程度で設定されています。

そのため、マンション内の駐車場が利用できる場合は、マンション内の駐車場を借りてしまった方がお得です。

管理費や修繕積立金、駐車場代、駐輪場代などは、一戸建てではかかることのない、マンション特有の費用です。

次に、タワーマンションの管理費の相場について見てみましょう。

タワーマンションの管理費の相場

国土交通省が実施している「マンション総合調査結果」によれば、マンションの階数ごとの管理費の平均価格は以下の通りです。

階数が低い方から順に、3階建て以下の場合には月に平均で10,895円かかります。

4〜5階建ての場合には12,449円、

6〜10階建ての場合には10,392円、

11〜19階建ての場合には10,590円、

そして20階建て以上の場合には15,726円となります。

全体の平均は10,970円です。

タワーマンションとは、一般的に60メートル以上の高さを持つ建物を指します。

したがって、タワーマンションに分類されるためには、建物の階数が20階以上である必要があります(階高が3メートルと仮定)。

統計によると、20階建て以上のマンションの管理費は全体平均のおよそ1.5倍程度となり、他のマンションに比べて割高になっています。

以上の情報から、タワーマンションの管理費が他の物件に比べて高いことが分かります。

タワーマンションの管理費が割高な理由

タワーマンションの管理費が割高な理由は、通常のマンションとは異なるサービスの充実があるからです。

タワーマンションは一般的に富裕層向けの物件であり、コンシェルジュやドアマンが常駐している物件が多いです。

さらに、一部のタワーマンションでは条例で管理人の常駐が義務付けられていることもあります。

このようなサービスの提供には人件費がかかるため、管理費が高くなるのです。

また、タワーマンションの特徴として、1階のエントランスがガラス張りで天井が非常に高い物件が多いです。

このような広い空間は、効率的な空調が難しくなります。

そのため、冷暖房の使用量が増え、水道光熱費が高くなる傾向があります。

さらに、タワーマンションでは内廊下が一般的であり、廊下も空調が必要です。

また、エレベーターの本数も多いため、エレベーターの運転も水道光熱費を増加させます。

さらに、タワーマンションの建築時には、容積率の割り増しが行われることがあります。

容積率とは、敷地面積に対する建築面積の割合を示すものです。

この割り増しには、公開空地の設置が義務付けられることが多いです。

公開空地は一般に開放され、通行や利用が自由なエリアであり、タワーマンション内の庭などになります。

公開空地は落葉樹が多く植えられることが一般的であり、庭の手入れには時間と手間がかかります。

このため、庭の維持費も高くなる要因となります。

以上のように、タワーマンションの管理費が高くなる理由は、サービスの充実、空調効率の低さ、内廊下やエレベーターの存在、公開空地の維持費などさまざまな要素によるものです。

これらの要素を踏まえて、管理費の相場や高い理由を考える必要があります。

タワーマンションの修繕積立金の相場

国土交通省が実施している「マンション総合調査結果」によれば、マンションの階層別の修繕積立金の平均価格は以下の通りです。

3階建て以下のマンションでは、1戸あたりの月平均額は9,745円です。

4〜5階建てのマンションでは、1戸あたりの月平均額は13,147円です。

6〜10階建てのマンションでは、1戸あたりの月平均額は11,252円です。

11〜19階建てのマンションでは、1戸あたりの月平均額は10,053円です。

20階建て以上のタワーマンションでは、1戸あたりの月平均額は12,305円です。

また、全体平均は11,060円です。

修繕積立金に関しては、統計的に言えば、20階建て以上のタワーマンションは全体平均の約1.1倍程度かかる傾向にあります。

そのため、タワーマンションの修繕積立金が「12,305円」となると、一般的な感覚からすると少し安く感じるかもしれません。

しかしながら、上記の数字はあくまでも全体の平均値であり、築年数の浅い物件も含まれていますので、比較的低額になる傾向があります。

実際には、タワーマンションは一般的に築年数の浅い物件が多いため、築10年から20年程度になると、修繕積立金は月に2〜3万円程度となる物件が多いです。

感覚的にはこちらがより適切な金額と言えるでしょう。

タワーマンションの修繕積立金が割高な理由

タワーマンションの修繕積立金が高い理由は、一つは特注品の設備が多いためです。

タワーマンションでは、他の建物とは異なる設備が必要なことが多く、一般的な量産品では交換ができない場合があります。

そのため、特定のタワーマンションのために作られた1点物の大規模な設備が必要になることがあります。

また、特殊な仕様となっているため、修繕の依頼先としてマンションの元施工会社(建築したゼネコンのこと)を利用する場合が多いです。

このような場合、他の施工会社と相見積もりを取ってコストを下げることが難しくなります。

マンションの元施工会社は、建築に関する知識や経験があり、修繕においても利便性が高いため、多くの場合、この業者に頼むことになります。

以上の理由から、タワーマンションの修繕積立金は割高になることがあります。

これまで修繕積立金が高い理由を見てきましたが、次にタワーマンションを購入する際のチェックポイントについて説明いたします。

タワーマンション購入時のチェックポイント

タワーマンションを購入する際には、長期修繕計画を確認することが非常に重要です。

この計画には、修繕積立金の値上げのスケジュールが含まれています。

通常、タワーマンションでは、新築時に修繕積立金が低く設定されており、その代わりに修繕積立一時金を支払います。

この一時金は通常、5年分の修繕積立金を一括で支払うものです。

5年ごとに一括で支払われる修繕積立一時金は金額的にも負担が大きいため、竣工後はマンション管理組合によって撤廃されることが多いです。

撤廃されると、毎月の修繕積立金に上乗せされることになりますので、5年目から修繕積立金が急激に増えることがよくあります。

ただし、5年や10年ごとに修繕積立一時金を撤廃せずに支払いが必要な長期修繕計画も一部存在するため、注意が必要です。

また、マンションでは、初期の長期修繕計画に加えて別の修繕工事が行われることもあります。

例えば、太陽光パネルの設置や共用部の電気を蛍光灯からLEDに交換するなどの工事です。

これらの修繕工事は新築時点で予想されていなかったため、修繕費は初期計画よりも不足することがよくあります。

そのため、修繕積立金は5年ごとに見直され、増額されることが多いです。

タワーマンションを購入する際には、将来的に修繕積立金がどのように増加していくのかを仲介会社に十分に確認することが重要です。

新築時点では月に約5,000円ほどであった修繕積立金が、築20年以上経過すると約3.5万円になることがよくあります。

そして、10年ほど経過すると修繕積立金は月に約2~3万円になることが想定されます。

これらを踏まえながらタワーマンションの購入を検討してみてください。

タワーマンションのエレベーターリスク

タワーマンションは、一般的に耐震性が非常に高い建物が多く、したがって災害に強いと言われています。

しかし、一つの問題点として、停電が発生した場合にはエレベーターが停止してしまい、高層階に住んでいる方々は非常に困難な状況になることがあります。

実際に、2019年10月の台風19号の影響により、武蔵小杉駅近くにある47階建てのタワーマンションでは、地下にある配電盤が浸水して壊れてしまいました。

その結果、台風の日から10日以上も停電と断水が続き、住民たちは非常に不便な生活を余儀なくされることとなりました。

一般的には、電力は復旧が最も早く行われるものですが、近年では台風が原因で送電線が倒壊し、長期間にわたる停電が発生するケースも見られます。

そのため、タワーマンションを購入する際には、災害時の対応策や設備の状況なども入念に確認し、物件を検討することが重要です。

まとめ

タワーマンションの管理費とは、ビルの共有部分の維持や管理にかかる費用を指します。

具体的には、エレベーターの動力費や清掃費、警備費などが含まれます。

また、修繕積立金とは、建物の老朽化や修繕に備えて積み立てておくお金のことを指します。

いくつかのタワーマンションでは、修繕積立金は5年ごとに上昇する傾向があります。

購入を検討する際には、将来の修繕積立金の上昇について管理組合に確認することが重要です。

また、タワーマンションには停電などの災害時において、エレベーターが停止してしまうリスクも存在します。

購入を検討する際には、災害時の対応策や設備状況を確認することが推奨されます。

災害時には、エレベーターの停止が生活にどのような影響を及ぼすのかを考慮し、計画的な対策を立てる必要があります。

以上のような点に注意しながら、タワーマンションの購入を検討してください。

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