不動産を購入する際に気になるのが、物件購入時にかかる登録免許税です。
登録免許税は、通常は買い手が負担するものであり、事前にその費用を把握しておきたいものです。
では、不動産の登録免許税は具体的にいくらかかるのでしょうか。
また、中古住宅の場合には登録免許税の軽減措置があると聞いたことがあるかもしれません。
それはどのような措置なのでしょうか。
さらに、登録免許税を安くするためには、どのような物件を購入すれば良いのでしょうか。
この記事では、不動産購入時における「登録免許税」に注目し、その詳細を分かりやすくお伝えします。
そうすることで、登録免許税に関する理解が深まるだけでなく、軽減措置などの特例についても知ることができます。
登録免許税とは
登録免許税とは、不動産の所有権に関する情報を登記簿謄本に記載するために必要な税金です。
この登録免許税は、国税として扱われます。
実際には、法務局に支払う手数料の一部として納められますので、納税の手続きをする必要があります。
ただ、登録免許税は引き渡し時に支払うため、多くの方には納税する感覚がないかもしれません。
実際の手続きでは、登記の前に登録免許税をあらかじめ支払っておくことが一般的です。
そして、引き渡しの日には、司法書士が買主の代わりに登録免許税を支払います。
売主と買主で分担することもできますが、実際の不動産取引では、買主が通常全額を負担することが一般的です。
登記は買主の権利を保護するために行われるものですので、登録免許税の負担もほとんどが買主にかかることになります。
なお、不動産の購入時には、他にも不動産取得税という税金が発生する場合があります。
登録免許税と不動産取得税は、不動産の売買が行われる際に発生するため、一般的に「流通税」と呼ばれることもあります。
登録免許税と計算方法とその費用
登録免許税は、不動産の価額に基づいて計算されます。
不動産の価額は、実際の売買額ではなく、固定資産税評価額となります。
固定資産税評価額は、売主のみが知っています。
不動産会社が仲介に入っている場合は、不動産会社に固定資産税評価額を確認してもらい、免許税を計算します。
中古住宅を購入する場合には、「所有権移転登記の売買等」になります。
この場合の税率は2%です。
また、住宅ローンを使って購入する場合は、抵当権を設定する必要がありますので、免許税は債権額の0.4%となります。
なお、所有権保存登記とは、これまで存在しなかった不動産に対して初めて行う登記のことです。
新築の建物の場合、初めて行う登記のため、所有権保存登記となります。
土地に関しては、埋立地など新しくできた土地の場合に保存登記の対象となることもありますが、一般的には土地の保存登記はほとんど行われません。
中古住宅を購入する場合は、既に土地と建物が存在するため、所有権移転登記となります。
住宅の購入は軽減処置あり!その要件とは?
不動産の中でも、「住宅」と呼ばれるものは、特定の要件を満たした場合に所有権の保存登記や移転登記、抵当権設定登記の税率が軽減されます。
住宅とは、以下の2つの基本要件があります。
住宅の基本要件
条件として、個人が新築または購入した家屋であることが必要です。
また、この家屋は主に自分自身が居住するために使用するものでなければなりません。
具体的には、法人や他の組織はこの特典の対象外です。
さらに、投資用のワンルームや賃貸アパートなども対象外となります。
この特典を受けるためには、建築が令和5年3月31日までに完成し、または購入が行われた後の1年以内に家屋を登記する必要があります。
新築と中古の要件
上記の要素を含む住宅は、新築および中古では追加の要件が適用されます。
新築住宅において、専有面積が50㎡以上であり、マンションなどの区分所有物については、登記面積でも専有面積が50㎡以上であることが必要です。
中古住宅では、新築住宅の要件を満たした上で、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
最初に、築20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)の家屋であることが含まれます。
次に、築年数に関係なく、新しい耐震基準に準拠していることを証明する必要があります。
または、既存住宅瑕疵担保保険に加入している場合に限ります(ただし、加入してから2年以内)。
耐火建築物とは、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、石造、レンガ造の家屋のことを指します。
重要なポイントは、面積が50㎡以上であることです。
例えば、専有面積が約40㎡の2DKのコンパクトマンションを購入した場合、登録免許税の軽減措置は受けることができません。
中古住宅では、新築住宅の要件に加えて、上記の節で述べた要件(イまたはロ)を満たす必要があります。
イまたはロの要件には、「新しい耐震基準に準拠していることを証明する」または「既存住宅瑕疵担保保険への加入」の2つのパターンがあります。
これらの詳細については、後述します。
この軽減措置は「建物」にのみ適用されますので、注意が必要です。
土地には適用されません。
新耐震基準と既存住宅瑕疵担保保険
中古住宅の税金の軽減措置は、新しい耐震基準を満たしている建物に対して適用されます。
この措置は、登録免許税だけでなく、不動産取得税や住宅ローン控除など、さまざまな税金控除の対象となります。
新しい耐震基準とは、建築基準法の改正に基づいて昭和56年(1981年)6月1日に導入された基準のことです。
昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物は、基本的に新しい耐震基準が適用されています。
ただし、昭和56年6月1日よりも前に確認申請が行われた建物でも、新しい耐震基準を満たしている可能性があります。
たとえば、最高裁判所などは頑丈に建てられているため、昭和56年6月1日よりも前に建てられたとしても、新しい耐震基準を満たしています。
つまり、しっかりとした建物であれば、昭和56年6月1日よりも前に建てられた建物でも、新しい耐震基準に適合している可能性があります。
新しい耐震基準に適合していることを証明するためには、耐震基準適合証明書を取得する必要があります。
耐震基準適合証明書は、建築士や指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関に耐震診断を依頼して取得します。
耐震基準適合証明書を持っていて、新しい耐震基準を満たしている建物であれば、登録免許税の軽減を受けることが可能です。
瑕疵担保保険とは
瑕疵担保保険とは、住宅を売却した後に、いくつかの隠れた問題が発見された場合に、保険金を利用して必要な修理費用などを補填することができる保険のことです。
この瑕疵担保保険が付帯された物件では、登録免許税に限らず、不動産取得税や住宅ローン控除などの税金の軽減策を受けることが可能です。
さらに、瑕疵担保保険は、物件の販売手数料を削減するなど、経済的なメリットも提供してくれます。
しかし、現在は瑕疵担保保険が付帯されている物件はまだまだ少ないのです。
だからこそ、中古住宅を購入する際には、必ず瑕疵担保保険の有無を確認するようにしましょう。
この保険を利用するためには、建物の状態を調査する「インスペクション」と呼ばれる手続きを合格する必要があります。
2018年4月以降、不動産業者によるインスペクションの受託が義務化される予定ですので、瑕疵担保保険が付帯された中古住宅が増えることが予想されます。
まとめ
中古の住宅を買った時には、登録免許税の軽減に関する特典について詳しくお伝えしてきました。
中古住宅を購入する場合には、登録免許税の軽減を受けるための条件についてしっかりと確認することが大切です。