最近、住宅の価格が急上昇しており、住宅を購入するには多額のローンを組む必要があります。
しかし、そのローンの返済が楽になるようにするためには、「頭金」が非常に重要です。
では、いくらの頭金が必要なのでしょうか。
適切な頭金の目安は、一般的には住宅価格の20%から30%程度と言われています。
つまり、住宅の価格が1000万円だとしたら、頭金は200万円から300万円の間になります。
もちろん、具体的な金額は物件の価格や買い手の状況によって異なる場合があります。
また、親から頭金をもらうことも一つの方法ですが、その場合には贈与税の対象になる可能性があります。
贈与税は、一定の金額以上の贈与を受けた場合に課税されるものです。
贈与税の金額は贈与された金額に対して課税されるため、一度に大きな金額を贈与する場合は注意が必要です。
今回の記事では、住宅の購入における頭金に焦点を当てて説明しました。
この記事を読むことで、頭金の必要性や適切な目安について理解することができるでしょう。
住宅購入時の頭金の平均
リクルート住まいカンパニーの調査によれば、住宅の購入において、平均で1,403.1万円の頭金が必要とされています。
一方で、不動産経済研究所によると、首都圏の建売住宅の平均価格は5,260.8万円です。
つまり、一般的な一戸建ての平均価格は5,000万円程度とされることが多いです。
したがって、住宅購入額の約28%にあたる1,400万円が自己資金であると言えます。
特に若者にとっては、1,400万円の頭金を用意することは非常に大きなハードルとなるでしょう。
実際に住宅ローンを組んでいる人の平均年齢も、首都圏では45.0歳、近畿圏では49.0歳です。
つまり、45歳までに1,400万円の頭金を貯めた人が住宅ローンを組んでいるということです。
平均的な金額を見ると、30代の人たちは頭金を貯めることが難しいと感じるかもしれません。
しかし、頭金は必ずしも自分で貯めたお金だけではありません。
親からの援助も頭金に充てることができます。
したがって、若者が住宅購入を検討する際は、自分自身だけでなく、家族の支援や援助を考えることも重要です。
親からの援助が受けやすい頭金と贈与税の関係
通常、個人が他の人から無料でお金や不動産といった財産を受け取ると、贈与税が必要になります。
つまり、親がお金を援助してくれる場合でも、それは贈与に該当します。
しかし、最近は高齢の人々が若い世代よりも裕福な傾向がありますので、高齢の人々のお金を若い世代にスムーズに移すための政策が取られています。
その政策の一つが「贈与税の住宅取得等資金の非課税制度」です。
この制度では、住宅を購入するための贈与に関しては、一定の額までは贈与税の対象外となる制度です。
具体的には、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下である20歳以上の子または孫などが、親や祖父母から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、所定の額までは贈与税が免除されます。
住宅取得等資金とは、以下のいずれかに使うためのお金を指します。
1.住宅建築予定の土地を取得する費用
2.新築住宅の購入または建設のための費用
3.使用されていない新築住宅の購入
4.中古住宅の購入
5.住宅の増改築のための費用
非課税の限度額は、住宅の面積が50㎡以上240㎡以下であることが必要です。
もし注文住宅で、上記と同等の負担をする高品質な住宅を建てる場合、親から1500万円までの贈与を受けても非課税です。
ただし、高品質な住宅でない場合は、非課税の限度額は1000万円までになります。
注文住宅で贈与を受ける場合には、住宅の品質と非課税枠の額との関係に注意しなければなりません。
頭金が不足している人は、住宅取得等資金の非課税制度を上手に活用して、頭金を確保することをおすすめします。
以上、ここまで親からの頭金と贈与税のことを詳しく説明してきました。
頭金の目安は住宅ローンから逆算する
頭金の目安を考える前に、まずは適切な住宅ローンの借入額を決めることが重要です。
適正な借入額を考慮し、その残りが頭金となります。
具体的には、住宅価格から適正な住宅ローン借入額を引いた金額が頭金となります。
もし現在お持ちの頭金と適正な住宅ローン借入額を合計しても、購入したい住宅価格に到達しない場合は、その住宅は高すぎると考えることができます。
適正な住宅ローン借入額は、年収の何倍かと返済比率の上限で判断されます。
一般的な基準では、年収の5倍以下かつ返済比率が20%以下であることが望ましいです。
このように、頭金の必要な額は、購入したい物件の価格と適正な住宅ローン借入額との関係によって決まります。
頭金は多いほど良いですが、適正な範囲内であれば頭金を用意する必要はありません。
むしろ、現金が余っているのであれば、将来子供の教育費などに備えて貯金として残しておくほうが良いでしょう。
適切な住宅ローンの範囲内で借り入れることを重視し、無理なく頭金を使って理想の物件を購入することが大切です。
将来の計画や目標に向けて、現金を使いすぎないように心がけましょう。
なお、注文住宅を購入する場合、土地の購入には住宅ローンは使えません。
通常、土地の購入にはつなぎ融資という別のローンを組む必要があります。
そして、建物が完成した後につなぎ融資を住宅ローンに借り換え、その時から住宅ローンの返済が始まります。
以上が、住宅ローンを考える際に頭金の目安を決める方法の一つです。
頭金がなくても適切な住宅ローンの範囲内で借り入れることは可能ですが、注文住宅では他にもローンを組む必要がある費用が発生することに留意してください。
住み替えを考えていらっしゃる方にとって、現在お住まいの家を売却することで得られる資金は頭金として活用することができます。
売却益を頭金に充てることで、新たに借り入れる金額を減らすことができるのです。
売却益を活用することで、より少ない借入金額で希望の新しいお家を購入することができるのです。
このような方法を利用することで、住み替えをよりスムーズかつ経済的に進めることができます。
頭金なしでも必要なお金はいくつかある
つなぎ融資や住宅ローンでは、借りることのできる対象は主に以下のものです。
つまり、物件価格に相当する部分がローンの対象となります。
例えば、土地の価格、請負工事費、設計料などが含まれます。
一方で、住宅ローンの対象とはならない諸費用もあります。
注文住宅で発生する諸費用で住宅ローンの対象とならないものは、以下のものです。
例えば、
仲介手数料
土地の不動産取得税
土地の登録免許税
登記のための司法書士手数料
土地の契約書に貼付する印紙税
建物および設計料に係る消費税
建物の不動産取得税
建物の登録免許税
登記のための司法書士手数料
請負契約書に貼付する印紙税
消費税
水道利用加入金(自治体による)
建物の火災保険料
保証料(保証会社に支払う費用)
ローン手数料
などが含まれます。
これらの諸費用は、注文住宅の場合は比較的高く、物件価格の10%程度になります。
そのため、例えば5,000万円の物件を購入する場合は、少なくとも500万円の自己資金が必要となります。
この自己資金は物件を購入するための頭金ではなく、諸費用として物件価格の10%は必要となるということです。
適正な住宅ローンの範囲において、フルローンで物件を購入しても、その物件価格の10%は頭金(自己資金)として用意しておくことが推奨されます。
以上、ここまで頭金なしでも必要なお金について見てきました。
適正な住宅ローンが分かると予算が決まります。
予算が決まると、次に気になるのは、その予算で一体どのような家を建てることができるのかという点です。
まとめ
家を購入する際には、頭金が必要です。
これは、住宅ローンを借りる場合に、物件価格と借入額の差を補うために支払うお金のことです。
さらに、物件価格の10%に相当する金額は、諸費用としてローンには含まれず別途必要となりますので、これにも頭金を用意する必要があります。
住宅ローンを十分に借り入れる場合でも、少なくとも物件価格の10%は頭金として用意しましょう。
このようにすることで、よりスムーズかつ安心して家を購入することができます。