マンションの大規模修繕|購入前に知っておきたい情報を解説

不動産

マンションを購入する場合、事前に把握しておくべき重要なポイントが「大規模修繕」です。

たとえ新築のマンションであっても、経年劣化により建物や設備は劣化していくためです。

この記事では、大規模修繕が必要になる理由や費用、工程など、購入前に知っておきたい基本情報について詳しく解説していきたいと思います。

まずは大規模修繕が必要な理由についてです。

マンションは、建物の劣化や老朽化に伴い、定期的な保守や修繕が必要です。

例えば、外壁の塗装がはがれてしまったり、屋根の葺き替えが必要になったりする場合があります。

また、共用部分の設備も、経年劣化により故障や動作不良を起こす可能性があります。

これらの問題が放置されると、住民の安全に関わることもあるため、定期的な大規模修繕が必要となるのです。

次に、大規模修繕の費用についてです。

大規模修繕には、建物の規模や設備の状況によって異なる費用がかかりますが、一般的には数千万円から数億円に及ぶこともあります。

これは、外壁や屋根の補修、共用部分の設備の更新、防水工事など、さまざまな作業や材料費が含まれているからです。

また、大規模修繕の費用は、マンションの管理組合から出される共益費にて賄われることが一般的ですが、場合によっては追加の修繕積立金が必要になることもあります。

最後に、大規模修繕の工程についてです。

大規模修繕は、計画から工事完了までに長い期間がかかることが一般的です。

まず、修繕が必要な箇所や範囲を調査し、専門の建築士やエンジニアが詳細な診断報告書を作成します。

その後、修繕計画を立て、工事業者を選定し契約を行います。

工事期間中は、住民への説明会や連絡なども行われることがあります。

そして、工事が完了し、修繕が終わると、マンションはより安全で快適な状態に復元されたことになります。

以上が、大規模修繕についての基礎的な情報です。

マンションを購入する際には、将来的な大規模修繕の必要性や費用、工程などを把握しておくことが重要です。

適切な情報を得て、安心してマンションを所有できるようにしましょう。

マンションの大規模修繕とは?

マンションを購入する場合、重要なポイントとして「大規模修繕」について事前に理解しておく必要があります。

大規模修繕は、経年劣化によるマンションの建物や設備の定期的な修繕を意味します。

特に、普段は行いにくい大掛かりな建物の修復や共用部分の改修などを指します。

具体的な修繕の周期は、各マンションによって異なりますが、一般的には約13〜16年間隔で実施されています。

大規模修繕工事期間中は、住民にとって暮らしにくい状況や費用負担が発生しますが、これはマンション所有者が建物の安全性や資産価値を維持するために必要な負担となります。

したがって、マンションを購入する際には、この点を理解しておくことが重要です。

大規模修繕についての基礎知識を事前に把握しておくことは、購入後に万が一修繕が必要となってもうろたえず対応することができるため、非常に役立ちます。

今回は、そのための基礎知識を紹介しますので、ぜひチェックしてください。

大規模修繕はなぜ必要?

マンションの大規模修繕が必要な理由は、主に次の二つです。

まず一つ目は、建物の老朽化です。

マンションは長い間にわたり使用されているため、建物や設備には経年劣化が生じます。

外壁や屋根の防水性能が低下したり、配管や電気系統が劣化したりすることで、建物の安全性や耐久性が損なわれる恐れがあります。

そのため、一定の期間ごとに定期点検を行い、必要な修繕や改修を行うことが重要です。

二つ目は、法令や規則の遵守です。

マンションは住宅に関する法令や規則に従って設計されています。

しかし、時代の変化により建築基準や法的要件が変更されることがあります。

例えば、耐震性や防火性能の改善が求められたり、省エネルギー対策が必要とされたりします。

このような要件に適合するためには、定期的な修繕や改修が必要です。

以上の理由から、マンションの大規模修繕は建物の安全性と耐久性を保つため、法令や規則に適合するために不可欠な作業なのです。

建物や設備は時間の経過とともに劣化するため

大規模修繕が必要となる理由の一つは、建物や設備が経年劣化するためです。

新しいマンションであっても、時間が経つと徐々に汚れたり傷ついたりすることは避けられません。

例えば、外壁や屋根は紫外線や風雨に曝されることで、乾燥によるヒビ割れやタイルの剥がれなどが発生するのです。

こうした劣化箇所を定期的にメンテナンスすることが、大規模修繕の主な目的となります。

劣化しやすい箇所には以下のようなものがあります。

共有のエリアでは、外壁、屋根、バルコニー、手すり、鉄製のパーツ、給排水管(共同のもの)、エレベーター、共有廊下や階段、エントランス、オートロックやインターホン、宅配ボックス、機械式駐車場、フェンスなどがあります。

共有のエリアであるが専用使用が認められている場所には、外側の玄関ドア、サッシと窓枠、バルコニーおよびルーフバルコニーの床と手すり、玄関のポーチ、1階の専用庭、専用使用駐車場、トランクルームなどがあります。

ちなみに、専有部分である内側の玄関ドアや給排水とガス給湯の管を含む箇所(枝管)は、区分所有者が修繕する必要があるため、注意が必要です。

資産価値を守るため

もうひとつの理由は、マンションの建物の資産価値を維持するためです。

マンションの建物は経年によって劣化してしまいます。

もしも大規模修繕を行わずに放置してしまうと、雨漏りや設備の故障が生じ、住民の生活に支障が出る可能性があります。

さらに、外観やイメージが悪くなり、マンション全体の魅力が損なわれるおそれもあります。

また、設備が古くなって不便さが生じる可能性もあるでしょう。

こうした問題が起こると、住民の快適な生活環境が損なわれ、それに伴ってマンションの価値も下がってしまいます。

将来的に売却や賃貸として貸し出す際にも、価格や家賃を下げざるを得なくなることが考えられます。

このようなことを防ぐために、大規模修繕は非常に重要な意味を持ちます。

中古マンションを購入する際には、大規模修繕の履歴や将来の予定など、修繕に関する情報が重要とされています。

そのため、売却者は購入者に対して、大規模修繕の有無や内容、修繕計画などを説明する義務があります。

大規模修繕の実施状況は、マンションを購入する際の重要な要素の一つです。

物件を検討する際には、修繕が適切に行われているかどうかを確認することをお忘れなく。

これによって、将来のトラブルや価値の低下を予防することができます。

以上が大規模修繕が必要な理由の1つです。

次は、実際に大規模修繕にはどれくらいの費用がかかるのかについて見ていきましょう。

大規模修繕にかかる費用

大規模修繕の費用は、建物の規模や構造によって異なります。

大規模修繕には、外壁や屋根の補修、共用部分の改修、設備の更新などが含まれます。

一般的な目安として、国土交通省が公表している大規模修繕の平均金額をご紹介いたします。

国土交通省のデータによると、平均的なマンションの大規模修繕にかかる費用は、約1,000万円から3,000万円ほどです。

ただし、これはあくまで平均値であり、実際の費用は建物の状態や必要な工事内容によって変動します。

また、大規模修繕には専門の建築会社や設計士の協力が必要です。

修繕の計画段階では、建物の点検や調査が行われ、必要な工事内容や見積もりが作成されます。

そして、予算やスケジュールが決定された後、実際の工事が始まります。

大規模修繕の費用は、修繕工事の内容や建物の特徴によって異なるため、個別の見積もりが必要です。

また、修繕工事はマンションの長期的な維持管理の一環として行われるため、ご自身のマンションの状態を把握し、計画的な管理を行うことが大切です。

大規模修繕費は一戸あたり100万円前後かかる

国土交通省が平成29年に行った調査によれば、マンションの大規模修繕にかかる費用は、一戸当たりでは異なりますが、一般的には次のような範囲となっています。

最も多かった費用帯は、一戸当たり75万円から100万円であり、回答全体の30.6%を占めています。

次に多かったのは、一戸当たり100万円から125万円で、同24.7%が該当します。

また、一戸当たり50万円から75万円の費用帯も、回答全体の13.8%を占めています。

この調査結果から分かるように、マンションの大規模修繕にかかる費用は、一回の修繕において一戸当たりおおよそ100万円前後ということが言えます。

具体的なマンションの総戸数が100戸だとすると、大規模修繕に必要な費用は約1億円になります。

これは非常に大きな金額ですので、マンションオーナーにとっては重要な経済的な負担となることが理解できます。

毎月1万円程度ずつ積み立てていく

マンションの大規模修繕を行うためには、非常に高額な費用がかかります。

このため、マンションの所有者たちは月々一定の金額を「修繕積立金」として積み立てています。

平成30年度の調査によれば、この修繕積立金の平均金額は1万1243円です(※2)。

しかしながら、今後はこの平均金額が上昇していく可能性があります。

これは、平成25年度以前の調査と比較しても、修繕積立金の額が増えている傾向があり、実際に「積立額が計画に比べて不足している」と回答しているマンションが34.8%存在するためです。

このような状況から考えると、今後は修繕積立金の平均金額が上昇し、より多くの資金が必要になる可能性が高いと言えます。

修繕積立金が払えないときは早めに相談を

修繕積立金の金額が急激に高まって、支払いが大変になったり、個人的な経済状況で支払いが難しくなった場合、滞納する前に相談することが非常に重要です。

滞納が続くと、管理組合内で問題になり、マンションでの生活が不快になることがあります。

さらに、訴訟に発展する可能性もあり、最悪の場合、給与や口座が差し押さえられてしまうかもしれません。

このような事態を回避するためには、支払いが困難になったと感じたらできるだけ早く管理会社や管理組合に相談することをおすすめします。

対応策はマンションによって異なるかもしれませんが、支払い期日の延長や分割払いの取り決めをしてもらえる可能性もあります。

ただし、支払いを免れることはできないため、管理費や修繕積立金の支払いが本当に困難な場合は、できるだけ早く売却の検討をすることをおすすめします。

マンションの大規模修繕はどう行われる?

では、実際にマンションの大規模修繕がどのような手順で進行していくのかを詳しく見ていきましょう。

最近では、マンションのサイズによって大規模修繕の手順が大きく2つに分かれています。

まず、大規模なマンションの場合、管理組合内に有志の「大規模修繕委員会」が立ち上がり、その委員会が進行を担当することが一般的です。

逆に、中小規模のマンションでは、管理組合が主導し、マンション管理会社と協力しながら進める方法が一般的です。

今回は、大規模修繕委員会の場合の手順を、全部で6つに分けて詳しく紹介します。

1. 検討フェーズ:まず始めに、マンションの外観や共用施設の状態を調査し、修繕の必要な箇所を特定します。

その後、費用や工期の見積もりを行い、修繕計画を立てます。

2. 提案フェーズ:次に、修繕計画を管理組合や住人に提案します。

修繕の必要性や費用の詳細について説明し、住人からの意見や要望を集めます。

修繕計画が承認されれば、具体的な工事内容や工期を決定します。

3. 入札フェーズ:契約業者を選ぶために、複数の業者に工事の見積りを依頼します。

提出された見積りを比較し、信頼性や費用面、スケジュールに基づいて適切な業者を選定します。

4. 契約フェーズ:選ばれた業者と正式な契約を締結します。

契約書には工事の内容や納期、費用などが明記されます。

また、業者との連絡係や進捗管理の担当者を決定し、スムーズなコミュニケーションを図ります。

5. 工事実施フェーズ:実際の工事が始まります。

工事の進捗状況を業者と定期的に確認し、問題が発生した場合には迅速に対応します。

住人への影響も最小限に抑えるため、工事期間や作業時間の調整も行います。

6. アフターフェーズ:工事が完了したら、完了報告書を受け取ります。

また、工事の品質や住人の満足度を確認するために、定期的な監査やアンケート調査を実施します。

必要ならば、修繕の保証期間内に不具合や問題があれば、業者に修正や対応を求めることもあります。

以上が、大規模修繕委員会が関与する場合の大規模修繕の手順になります。

大規模修繕は住人の安全や快適な生活のために欠かせない重要な活動です。

大規模修繕工事にはいくつかの工程があります。

まず、組合員や居住者に対して工事の予定や内容を通知します。

これにより、住人は工事のスケジュールに合わせて自身の生活を調整することができます。

次に、共通の仮設物や足場を設置します。

これは、工事現場へのアクセスや安全性を確保するために行われます。

その後、外装工事が行われます。

外壁、屋上、ベランダなどの外部の部分に対して、補修や改修が実施されます。

これにより、建物の外観や耐久性が向上し、住人の安心感も高まります。

また、建物内の共用部分に対しても工事が行われます。

共用廊下、階段、壁面、天井などを補修したり、改装したりします。

これにより、共用部分の美観や快適性が向上し、住人全体の満足度が高まります。

さらに、大規模修繕工事中には、共用設備の修理や改修も行われます。

例えば、エレベーターやオートロックなどの設備が修理され、より安全で便利な状態になります。

大規模修繕工事中、大規模修繕委員会は、工事会社と住人の橋渡し役となります。

彼らは工事の進捗状況を住人に報告し、また住人の理解や協力を得るための努力を行います。

彼らの存在により、工事は円滑に進行し、住人は工事の目的や必要性を理解しやすくなります。

大規模修繕中の生活

大規模修繕工事が行われる際には、住んでいるマンションの生活には避けられない影響が出ます。

具体的には、建物全体に足場が組まれ、外壁やベランダの工事が行われます。

そのため、作業のために自宅のベランダに作業員が出入りし、足場には保護シートが張られるため、洗濯物が外に干せなくなります。

また、作業中は臭いや粉じんの侵入を防ぐために窓を開けられないこともあります。

その他にも、以下のようなことが求められることがあります。

– ベランダにある物品は全て室内に収納する必要があります。

ウッドデッキや植物などは撤去しなければならない場合もあります。

– 網戸は一時的に外し、室内に保管する必要があります。

– BSアンテナやCSアンテナなどは取り外して、保管する必要があります。

– エアコンの室外機を移動する必要があります。

– 駐車場の車を移動する必要があります。

– 廊下や階段の工事中は、建物内での通行に一時的な迂回が必要です。

このため、一定期間、ストレスや不便を感じることもありますが、工事がスムーズに進むためには、住人の理解と協力が必要です。

ただし、作業日程に立ち会う必要があったり、一時的な物品の移動が難しい場合など、協力が難しい点がある場合は、大規模修繕委員会や管理組合に相談することをおすすめします。

まとめ

通常、13年から16年に1度行われることが多い大規模修繕は、同じマンションに30年から50年住み続ける場合、およそ3回経験することになります。

新しく建てられたマンションでは、当面は大規模修繕が必要ありませんが、修繕積立金の額が十分でないと、大規模修繕時に必要な費用が不足する可能性もあるため、修繕積立金の増減計画を確認することが重要です。

また、特に中古マンションを検討している場合は、検討中のマンションの次の大規模改修工事の予定時期や、大規模修繕のために適切に積み立てられているかどうかなど、大規模修繕に関連する事項を確認することを忘れてはなりません。

大規模修繕では、稀に工期が延びたり、工事期間中にトラブルが発生することもあります。

また、工事完了後には、補修箇所から雨漏りやタイルの剥がれなどのトラブルが発生することも考えられます。

こうした問題を避けるためには、工事会社の選定が非常に重要です。

大規模修繕の経験が乏しい工事会社などは、大規模なマンションでは対応しきれない場合もあるようです。

また、万が一、問題が発生した場合に備えて、アフターサービスの提供状況も選定のポイントとなります。

大規模修繕の工事会社の選定については、マンションの区分所有者が議決権を持っており、マンションの区分所有者一人ひとりが当事者意識を持つことが重要です。

マンションを購入した際は、自分たちの大切な住まいのために、積極的に発言したり協力したりすることが求められます。

タイトルとURLをコピーしました