空き家特別対策法による増税リスクと対応策
平成27年に施行された空き家特別対策法は、増え続ける空き家問題に対処するために制定されました。
この法律によると、空き家を放置し続けると思わぬ税負担を被る可能性があるということです。
そこで、増税リスクについて詳しく検証し、適切な対応策を考えました。
まず、増税のリスクとなるのは固定資産税です。
固定資産税は地方自治体が課税し徴収する税金であり、家屋、土地、償却資産が課税対象となります。
所有する人々は納税義務者とされ、市町村からは年度の初めに納税通知が送られます。
通常、土地または建物の評価額に1.4%を乗じた金額が固定資産税として課されます。
しかし、固定資産税にはいくつかの優遇措置があります。
住宅に対する負担軽減措置
居住用不動産は生活に欠かせない資産であり、国民の生活安定を促進するため、いくつかの課税上の配慮が行われています。
例えば、小規模な住宅用地(敷地面積が200㎡以下の場合)は固定資産税が1/6まで軽減されます。
また、店舗を兼ねた住宅の場合、店舗部分の床面積が全体の1/2以下であれば、敷地全体が軽減対象となります。
さらに、居住条件に関しては、その住宅に実際に住んでいるかどうかは重要ではありません。
敷地上に住宅が建っている限り、軽減対象とされます。
一方、一般の住宅用地(敷地面積が200㎡を超える部分)に対する軽減措置も存在します。
この場合は固定資産税が1/3まで軽減されます。
店舗を兼ねた住宅の取り扱いや居住条件については、小規模住宅用地と同じく適用されます。
ただし、建物の床面積の10倍までという敷地面積の上限が設けられています。
つまり、空き家であっても、敷地に住宅がある場合には固定資産税が割引されていました。
以上のように、税制上の優遇措置が空き家の放置を助長してきたとされています。
そのため、空き家問題の解決に向けて、増税リスクに対応するためには、空き家の活用や再生計画の立案など、積極的な対策が必要とされています。
空き家対策特別措置法施行による見直し
空き家対策特別措置法が施行されたことにより、空き家問題に対する取り組みが見直されました。
この法律により、一定の条件を満たす空き家に対して、これまで住宅用地として認められていた固定資産税の優遇措置が適用されなくなることが決まりました。
つまり、最大で1/6の軽減措置が受けられなくなり、結果として固定資産税の負担が最大で6倍になる可能性があります。
ただし、空き家が必ずしも軽減措置の対象から外れるわけではありません。
対象となるのは「特定空き家」と呼ばれるものに限られます。
国や地方自治体が示している基準や先行事例に基づくと、以下の条件に当てはまる場合に特定空き家として認定される可能性があります。
・放置が進み、建物の傾斜や屋根・外壁の劣化、基礎の破損、擁壁の老朽化など、安全上の問題が懸念される場合。
・放置が進み、異臭や害獣などの衛生上有害な状況が想定される場合。
例えば、浄化槽の破損による汚物の飛散やゴミの放置、有害物質の貯積など。
・周辺への景観上の悪影響がある場合。
例えば、ゴミの散乱や落書き、ガラスの欠損、外壁の損壊など。
・周辺の生活環境を著しく悪化させている場合。
例えば、樹木の倒壊や枝折れによる飛散、カラスやスズメバチの営巣、シロアリの大量発生、灯油や危険物の放置など。
もし自分自身が営業や生活の拠点から離れた場所に空き家を所有している場合は、特定空き家の条件に該当しないよう定期的に確認しておくことが賢明です。
まとめ
現時点では空き家に対する税制上の制約はそれほど厳しくはありません。
空き家の所有者に対して増税対象となるのは特定空き家に限られているためです。
当面は特定空き家に指定されないよう予防措置を講じておけば問題ありません。
ただし、空き家対策特別措置法は今後強化される可能性もあるため、譲渡所得税の優遇措置を活用したり、建物の取り壊しや売却などの対策を早めに検討しておくことをお勧めします。