住宅を購入することは、人生で最も高額な買い物の一つです。
そのため、多くの人が慎重な態度で取り組むことでしょう。
しかし、住宅の市場では早い者勝ちの状況もあり、いい物件が見つかれば即決が必要となることもあります。
家を購入する際には、「慎重さ」と「大胆さ」の両方を必要としますが、これらを両立させるのは非常に難しいことです。
家を申し込む際には、基礎知識を身につけ、しっかりと準備をすることが重要です。
家購入の申し込みの2つのパターン
早速、新築物件と中古物件の購入申し込み方法について見ていきましょう。それぞれ特徴がありますので、確認をしてください。
新築物件の購入申し込み
新しく建設された家の購入を希望する場合、一般的にはその物件の販売所やモデルルームに足を運び、そこで購入の申し込み手続きが行われます。
具体的には、購入の申し込み書に必要な情報を記入し、それに加えて「申込証拠金」と呼ばれる一定金額を支払います。
一般的に申込証拠金の相場は5万円から10万円程度です。
この申込証拠金は、あくまでただ興味を持っているだけではなく、真剣に購入を考えていることを証明するために求められるものです。
しかし、売買契約が成立した場合、その申込証拠金はそのまま手付金の一部として差し引かれることになります。
新築物件の購入には、「先着順」または「抽選」という方法があります。
例えば、新築の一軒家では先着順が多いですが、マンションや大規模な開発地では抽選が一般的です。
気になる物件があれば、その物件が先着順なのか抽選なのか、事前に確認しておくことが重要です。
中古物件の購入申し込み
中古物件を購入する際には、売主または不動産会社に対して「買付証明書」という書類を提出する必要があります。
買付証明書とは、購入の意思を正式に表明するための書面です。
この買付証明書には、購入希望価格や代金の支払い条件、引き渡し希望日など、基本的な購入条件が記載されます。
中古物件の取引では、新築物件とは異なり、「申込証拠金」というものは一般的にありません。
値引き交渉を希望する場合は、購入希望価格の欄に自分が支払いたい金額を記入します。
ただし、売主が購入希望価格に同意しなければ、売買契約は成立しません。
そのため、購入希望価格は不動産会社とよく相談しながら決めることが重要です。
次に、新築物件と中古物件の価格交渉についても見ていきましょう。
新築物件と中古物件の価格交渉の金額目安
少しでも安く購入したい場合、価格交渉をしてみる事も重要です。新築物件と中古物件では、売主が事業者と個人とで違いますので、交渉する金額も変わってきます。
新築物件の場合
新築の物件では、マンションや戸建てのどちらも値引き交渉はほとんどできません。
新築マンションの場合、抽選方式での販売が一般的であり、その結果当選した人は通常満額で購入することになります。
また、先着順の販売でも、複数の人が同じ物件に申し込むことが一般的です。
したがって、先に申し込んだ人が値引き交渉をしようとしても、しばらく待てば満額で購入する人が現れるため、売主は値引きする必要がありません。
もし新築物件が売れ残るような場合、ディベロッパーは自ら値下げして再販売します。
その際、ディベロッパーは確実に売れる金額まで値下げするため、値下げ後の価格からさらに値引き交渉することは困難です。
中古物件の場合
中古の物件を購入する際は、値引き交渉が一般的に行われます。
不動産会社が売主に対して値引き交渉を代行してくれるため、値引き交渉がスムーズに進められます。
ただし、マンションと戸建てでは値引き交渉の目安が異なります。
売り出し価格に対しての成約価格の割合を考慮すると、マンションでは10年間の平均で約99%、戸建てでは約80%が成約価格となっています。
中古マンションの場合、成約価格が売り出し価格にほぼ近いため、あまり値引き交渉ができないことが一般的です。
一方、中古戸建てでは、成約価格と売り出し価格には大きな差があり、大幅に値引きすることが可能です。
実際には、中古戸建ての場合は約10%程度の値引き交渉を行うことで、購入が可能な場合が多いです。
これまで価格交渉について見てきましたが、次に家の購入後のキャンセル規定について説明いたします。
申し込みと売買契約で異なるキャンセル規定
家を購入する際に申し込みをし、後からキャンセルする場合、キャンセルの対応方法は、「申し込みした後」と「売買契約を結んだ後」で異なってきます。
この章では、キャンセルに関する規定について詳しく説明いたします。
購入申し込み後から売買契約前までのキャンセル
購入を申し込んだ後でも、売買契約を結んでいない限り、原則としてキャンセルすることが可能です。
新築物件の場合、申込証拠金も返金されます。
ただし、中古物件では、買主が買付証明書を提示した後、売主が売渡承諾書を提示することがあります。
しかし、不動産売買では、売渡承諾書が提示されても、まだ売買契約が成立していないとみなされます。
売買契約を正式に成立させるには、物件の特定だけでなく、売買代金額や支払時期、引渡しや移転登記の時期など、売買の基本的な要件について合意する必要があります。
したがって、買付証明書と売渡承諾書だけでは不十分であり、売買契約を成立させるためには、売買契約書を作成して締結することが不可欠です。
売買契約後のキャンセル
売買契約後にキャンセルする場合、買主は売主の同意を得る必要があります。
もし売主が同意しない場合、買主は契約を解除することができません。
しかし、買主が売主との合意を得た場合、売買契約締結時に支払った手付金を放棄することで解除することができます。
この手付解除という方法は、買主が都合によって契約を解除する場合に使われる言葉です。
売買契約締結前と異なり、売買契約後のキャンセルには無償で解除することはできません。
つまり、買主が契約を解除するためには手付金を放棄する必要があります。
中古物件の購入の場合、売買契約締結時に不動産会社に仲介手数料の半額分を支払うことがあります。
しかし、買主が手付解除を行う場合、この仲介手数料を取り戻すことはできません。
その理由は、買主の都合で契約を解除することから、不動産会社に責任を負わせる理由がないからです。
これまで売買契約後のキャンセルについて説明しましたが、次に売買契約締結前に必要な手続きについてお伝えします。
不動産購入申し込み書に記名の前にやっておくべきこと
不動産購入申込書は、軽い気持ちで提出することはやめておきましょう。
条件を整理して予算を決める
申込する前にやるべきことは、条件を整理し、予算を決めることです。
物件を購入するためには、頭金や諸費用が必要です。
頭金は物件価格の約20%程度であり、諸費用は最も高額な注文住宅でも約10%程度かかる場合があります。
そのため、手元に用意できる現金から逆算して物件購入の予算を決める必要があります。
予算が決まったら、通勤や通学の利便性を考慮して希望するエリアを選び、家族構成などを考慮して間取りを決定することも重要です。
エリアや間取りなどの条件が決まったら、予算に合わせて物件を探していきます。
予算的に新築物件が難しい場合は、中古物件を探すか、駅から少し距離のある物件も検討するなど、条件を広げて予算に負担のかからない物件を選ぶことが重要です。
物件で気になる部分は遠慮なく質問する
家を買う前に、もし気になる部分があれば、どんな質問でも不動産会社のスタッフに遠慮なく聞くことが大切です。
売買契約を結ぶ前であれば、申し込みをすること自体を取り消すこともできますが、それは少し不誠実な行為と言えます。
売主や不動産会社は、申し込み内容に信頼をもって契約準備を進めていることを前提にしていますので、申し込んだ後は極力キャンセルしない方が一般的です。
簡単に取り消さないためには、家を買う前に気になる部分について徹底的に質問し、慎重に判断することが重要です。
他の物件もあるので、焦らずにゆっくりと検討することをおすすめします。
まとめ
家を購入する際の申込み手続きについて詳しく説明いたします。
一般的に、新築物件の場合、申込証拠金の支払いを行い、中古物件の場合は買付証明書の提出が申し込みの手続きとなります。
ただし、申し込みだけでは売買契約は成立していないため、売買契約前であれば原則として無償で契約をキャンセルすることが可能です。
しかし、売買契約が成立した後に契約を解除する場合には、手付金を放棄する必要があります。
購入申し込みを行う前には、以下の3つのポイントに注意し、準備をしておくことが重要です。